予防処置

“治療中心”から“予防管理型”の歯科クリニックへ

歯は失いたくない≠歯は悪くなったら治療する

日本では「歯が悪くなったら歯医者さんに行く」という考えが今も根強く残っています。その一方で多くの方は「自分の歯は生涯失いたくない」とお考えです。

歯は失いたくない≠歯は悪くなったら治療する

しかし皮膚や骨のような再生能力を持たない歯は、治療で一度削ってしまうと元には戻りません。ですから「歯は悪くなったら治療する」と「自分の歯は失いたくない」というのは実は矛盾した考えであり、双方が両立することはありえません。自分の歯を1本でも多く残すためには、“治療する”のではなく“予防する”ことこそ最も重要なのです。

予防先進国「スウェーデン」から学べること

世界有数の“予防大国”として名を馳せる北欧の国・スウェーデン。しかしそのスウェーデンも30年前までは国民のむし歯罹患率が非常に高く、これを危機に感じた政府が国を挙げて改善に取り組んだことが現在の礎となっています。

スウェーデン政府がまずおこなったのは、予防歯科への定期受診を義務化したことです。これによりスウェーデン国民の予防に対する意識が高まり、現在でも子どもは100%、大人でも80%の人が予防を目的に歯科を定期的に受診しています。

その結果、スウェーデンの80歳時点における平均残存率は『21本』と、世界的にも非常に高い水準を維持し続けています。

地域全体の予防レベル向上のために

以上のような考えから、当院では従来の歯科医師による“治療中心型”から、歯科衛生士が主体となる“予防管理型”のクリニックへと目標を定め、日々取り組んでおります。

地域全体の予防レベル向上のために

当院は歯科衛生士を“担当制”とし、専属の歯科衛生士が皆様のお口の健康を守り育てる予防・メンテナンスをおこなっていきます。そして当クリニックのみならず、地域全体の予防レベル向上を実現すべく、これからも日々努めてまいります。

当院の『むし歯予防』の考え方

“歯磨き”だけでむし歯は予防できる?

むし歯予防の基本といえば、毎日の歯磨きですが、一方で毎日しっかり磨いているのにもかかわらず、虫歯を繰り返してしまう方もいらっしゃいます。また周囲と同じようなケアをしているのに、なぜか自分だけむし歯になってしまう・・・そうお悩みの方も中にはいらっしゃるでしょう。

“歯磨き”だけでむし歯は予防できる?

なぜこのようなことが起こってしまうかといえば、それはむし歯は1つの原因でなく、様々な要素が複雑に重なりあって発生する病気だからです。具体的にはお口の中にいる『細菌の数』、自分の歯をむし歯から守る『防御力』、そして日常における『食生活』などが挙げられます。

むし歯予防ではまず自分がこれらの要因うち、どこに問題を抱えているかを見極めることがとても大切です。”むし歯予防“と一口にいっても、そのプロセスは一人ひとりで異なることをよく理解しておきましょう。

カリオロジー(むし歯学)に基づく予防と治療

近年はむし歯の成り立ちや原因について究明し、そこから個々の予防法や進行に応じた治療法を導きだす『カリオロジー』という概念が世界中で広がっています。当院もこのカリオロジーに基づいたむし歯の予防と治療に取り組んでおります。

カリオロジー(むし歯学)に基づく予防と治療

これまでむし歯は「とにかく削って治す」というのが当たり前でした。しかしただ削って治すだけでその根本の原因を無視したまでは、治療してもまた数年後には新たなむし歯が再発してしまいます。そして『むし歯になる⇒治療する』が繰り返され、やがて歯を失ってしまうことになってしまうわけです。

むし歯を効果的に予防するにはまず「なぜむし歯になったのか」をひも解き、そこからわかる個々のリスクに応じた予防法を見つけることが重要です。また歯の表層にできた小さなむし歯は、予防処置によるコントロールをしっかりおこなえば、その進行を食い止められます。このようにむし歯は科学的根拠(エビデンス)のもとで適切な処置をおこなえば、歯をむやみに削る必要がなくなるわけです。

ご自分の『むし歯リスク』を知るために

だ液検査

だ液の中に含まれる細菌の数や※だ液緩衝能(かんんしょうのう)をお調べして、個々のお口のむし歯リスクを判定していきます。

※だ液緩衝能・・・むし歯菌が作り出す『酸』を中和する働きのこと。だ液緩衝能が高いほどお口の中はむし歯になりにくい環境を整えやすくなります。

『カリオグラム』によるリスク評価

当院ではだ液検査をはじめとする種々の検査結果を、カリエスリスク診断ソフト『カリオグラム』に入力し、それぞれの要因を統合的に分析しています。

カリオグラムはむし歯の発生要因となる『食事』『細菌』『環境』『感受性』といった要素から、患者様のお口の中のむし歯リスクを判定していきます。当院ではこの判定結果をもとに、皆様お一人おひとりに最適な予防プログラムをご提案してまいります。

当院の予防歯科が取り組んでいる6つのこと

① 拡大鏡による精密検査

お口の状態を知るためには、まず「直接目で見ること」がとても重要です。当院では拡大鏡(ルーペ)と呼ばれる拡大装置を使用して、むし歯のチェックをおこなっていきます。

② デジタル・レントゲンによる検査

肉眼では見えない歯と歯の間や、歯の深いところにあるむし歯はレントゲン検査でチェックをおこないます。レントゲンは小さなむし歯の早期発見・早期治療に非常に有効です。

③ 『ダイアグノデント』によるむし歯検査

当院のむし歯検査では、レーザーの光によってむし歯の深度(深さ)を測定する『ダイアグノデント』も合わせて使用していきます。

さらにダイアグノデントは、肉眼やレントゲンでは判別できないほどの小さなむし歯の発見にも役立てています。当院ではこのような種々の検査機器を用いながら、むし歯の早期発見に努めております。

④ ブラッシング指導

当院では患者様専任の歯科衛生士が個々のお口の状態や歯並びなどに応じて、適切な歯ブラシの選び方からブラッシング法まで丁寧に指導してまいります。普段のケアでお困りのこと、お悩みのことなど何でもお気軽にお尋ねください。

⑤ フッ素塗布

フッ素には歯質を強化してむし歯になりにくい歯をつくるほか、再石灰化(歯の修復作用)をうながしたり、むし歯菌が酸をつくるのを抑えたりする働きがあります。当院ではご家庭での毎日のケアにもこのフッ素が配合されている歯磨剤を皆様にお勧めしております。また院内では高濃度のフッ素塗布を定期的におこないながら、むし歯の予防に努めていきます。

⑥ 食生活の改善・アドバイス

むし歯の発生は普段の食生活とも深く関係しています。当院では患者様の食生活パターンを分析し、むし歯リスクの高い方には食習慣の改善についてのアドバイスをおこなっていきます。特に小さなお子様の場合、幼い頃から正しい食習慣を身につけておけば、大人になってからもむし歯になりにくいお口の環境を整えることができます。また『キシリトール』などの糖アルコールを含む食品を普段のおやつに取り入れるのもお勧めです。